温度制御と伝熱解析
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1.制御対象と熱源の間の伝熱を考えることが、高精度な制御につながります!
 私たちは、半導体・プラスチック・理化学機器や食品包装など、様々な熱処理装置に温度制御の技術を提供しておりますが、熱処理装置の品質を高めるためには、制御アルゴリズムの開発だけでは解決できない問題もあります。
 例えば、射出成形機ではショットサイクルごとに、シリンダ内の材料が入れ替わり、温度が劇的に変化します。このとき温度がどれだけ変化するのかは、入れ替わる材料の量と出て行く材料の温度、入ってくる材料の温度、さらには材料の熱容量・シリンダの熱容量などによって決まります。
 また、シリンダのように熱容量の大きいものを加熱して樹脂温度を制御する場合、センサを取りつける位置や深さによって、制御性が変わります。
 半導体製造装置では、ウェハの面内温度分布が均一になるように制御することが求められていますが、ウェハを熱板に置載した直後は、熱接触する直前のウェハとプレートの温度状態によって決まるため、この瞬間の温度制御をするためには、伝熱的な考察が必要となります。

 このように、制御性を向上させるためには従来からの技術開発に加え、制御対象の伝熱解析が重要だと考えています。
 ここでは、温度制御のための伝熱の基礎を解説していきます。

2.ヒータの種類と伝熱の3形態
 制御対象を加熱するヒータ(加熱装置)には、目的や使用条件によってさまざまな種類がありますが、それらの特徴を伝熱という視点から見ると、伝導・対流・輻射(放射)の3種類に分けることができます。
 熱伝導・対流・輻射を伝熱の3形態と呼びますが、ここでそれぞれの特徴を、簡単な例を挙げて解説します。

熱伝導の説明図
熱伝導】
熱伝導は物体内の粒子の接触による運動量の交換によって熱が伝えられる現象です。つまり、物体内に温度差が生じている場合や、温度の異なる2つの物体が接触することによって生じる熱の移動です。
 熱板(ホットプレート)やバンドヒータなどに代表される、ヒータを制御対象に直接的に接触させて加熱する場合の伝熱がこれにあたります。形状の自由度や、比較的単純な計算式で伝熱量が求められる明確さなどから、この種のヒータは広範囲な用途で多数あります。
プラスチック成形機の熱伝導説明図
半導体製造装置の熱伝導説明図

【対流】
対流の説明図
恒温槽における対流の説明図
 対流による伝熱は、熱エネルギーを持った流体粒子が移動することによって熱が伝えられる現象です。
 温風炉のように、加熱対象から離れたところにある熱源によって熱せられた空気が、ファンなどで加熱対象のところまで移動し、加熱対象の温度を制御する場合が対流伝熱に当ります。
 また、多くの場合、温風などの流体が固体と接することで固体表面と流体との間で熱が伝えられますが、このときの熱の伝わりやすさを熱伝達率と呼び、流体の速度や粘性、固体表面の状態などによって伝熱量が決まります。一般に、同じ温度差の物体間の伝熱では、伝導より対流による熱伝達の方が伝熱量は大きくなります。
 対流伝熱の特徴は、流体を媒体にして伝えられるという点で、熱源から離れた広い空間をすばやく均熱化することができます。その反面、流体が移動している間に周囲の固体(壁や制御対象)と接して熱伝達する場合が多く、高精度な制御のためにはセンサの取りつけ位置や制御方式を適切に選択することが重要です。

【輻射】
輻射についての説明図
半導体製造装置、ランプヒータを用いた輻射の説明図
 輻射は電磁波により2物体間で熱が伝えられる現象で、物体間に媒質が存在しなくても伝わることが最大の特徴です。
 ランプヒータが輻射伝熱の代表格で、真空空間での加熱や即応性が必要な場面で利用されます。
 ヒータの発光効率や光の散乱・吸収などにより、消費電力がすべて制御対象に伝わるわけではないため、計算上の効率は低くなりますが、ヒータの立ち上がり時間がほとんどゼロで瞬時に立ち上がる即応性は予熱時間を削減でき、断続的な動作をする装置では、OFF時の余計な電力を削減できるという利点があります。
 また、非接触でも加熱対象のみを加熱することができるため、ヒータと加熱対象の間の空間を加熱する余計な電力を削減できるという利点があります。

輻射伝熱を利用する場合の注意点としては、物体表面の状態により、輻射熱の吸収率が異なることが挙げられます。
 例えば、同じ輻射熱源の前に2つの異なる吸収率の物体があったとき、吸収率の大きい方が、輻射熱を受けたことによる温度上昇は高くなります。
 このため、制御対象が一様な表面状態であること、センサの位置・吸収率などの点で考慮が必要です。


3.温度制御と伝熱解析の技術
 このように、ヒータの種類を伝熱の形態で分類分けすると、それぞれの特徴から、温度制御における利点や注意点が浮かび上がってきます。実際の加熱装置では、伝導・対流・輻射のうち、どれかひとつしか存在しないということはほとんどなく、それぞれ複合されて熱が伝わりますが、こういったことを考慮して最適な温度制御を選択・開発していくということも、私たちの技術の一つなのです。
以 上

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