技術解説

背圧式レベル計の仕組み

1.圧力式レベル計と背圧式レベル計

タンクの中に入った液体の量(液面レベル)を測定する測定器として、レベルセンサがあります。その中でも、タンク内に計測チューブを挿入し、チューブ先端にかかる圧力を測定して液面レベルを計測するものに、圧力式レベル計と背圧式レベル計があります。これらの仕組みと特徴を紹介します。

2.圧力式レベル計の原理

はじめに、圧力式レベル計の原理を説明します。図1のように、タンクに液体(例えば水)が入っていて、計測チューブが挿入されている場合を考えます。計測チューブの中が気体(例えば空気)などで満たされていると、計測チューブの先端の液面には水深に応じた圧力がかかります。

図1

水深L[m]の位置にチューブの先端があるときの水圧P[Pa]は、水の密度ρ[kg/m3]と重力加速度g[m/s2]から、次のような関係式が成り立ちます。

P=ρLg

ρ=1000[kg/m3]、L=1[m]、g=9.8[m/s2]とすると、水圧Pは9.8[kPa]になります。さらに、水の比重を1とすると、比重2の液体を同じ量だけタンクに入れたとすると、2倍の圧力19.6[kPa]が発生することになります。この圧力Pを、上部に設置した圧力計で測定できれば、既知である液体の密度ρ(または比重)から水深Lを逆算することができます。これを行っているのが、圧力式レベル計です。
ここで問題になるのが、チューブの先端の液面状態です。圧力が増すほど、液面はチューブの表面張力と圧力により変形し、見かけ上の液面が少しだけ上昇します。これにより、測定値に誤差が発生します。また、液体が腐食性の場合、計測用チューブの中を伝わって腐食性ガスが圧力センサを破損させる可能性もあります。この問題を解決するための方法として、背圧式レベル計があります。

3.背圧式レベル計の原理

次に、背圧式レベル計の原理を、図2を基に説明します。

図2

先ほど説明した圧力式レベル計と同じような構成をしていますが、計測用チューブが二股に分かれています。この追加された経路から、発生しうる最大水圧を僅かに上回る圧力で不活性ガス(窒素ガスなど)を供給すると、ガスはチューブ先端から少しずつ排出されていきます。この時、上部に設置した圧力計の値は図3のような動きを検出します。これは、チューブ先端からガスが離れる際の現象により生じる脈動で、その振幅はチューブと液体の表面張力の関係で決まります。水深を先述の式に当てはめて逆算する際には、チューブ先端の液面が丁度並行になるときの圧力が、振幅の最大値、最小値の間のどの位置にあるのかを、あらかじめ基準値として調整しておくことで、より真値に近い値で水深を算出できるような工夫がされています。

図3

不活性ガスが供給され、常にチューブ先端に向かって流れることで逆流を防ぐことができるため、腐食性ガスを含む危険な液体にも使用することができます。

弊社では、背圧式レベルセンサとしてLE100、タンクの内圧が変化する場合にも適用できるLE110がございます。また、より簡単にチューブの先端より液面が上にあるか下にあるかのみを検出できる、背圧式レベルスイッチLT1も用意しております。